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Diet for Healthy Shibas:健康な柴犬のための食事

 

【はじめに】・【BARF Diet】・【実践】・【Commercial Raw Food】・ 【関連著書

 

■ はじめに ■

幸が家に来たのはちょうど生後12週目の時でした。幸を迎えるにあたり、どのような食事をさせるのが一番いいのか知りたかったので、いろいろな参考書を読んでみました。その当時私が読んだ本は、全てアメリカで出版された犬の躾関係の著書でしたが、それはどれも市販のドッグフードを中心に与えることを勧めていました。理由は大きく分けて二つ。一つは市販のドッグフードが「栄養のバランスの取れた完全食」であること。もう一つは躾の為です。市販のドッグフードは、専門の企業が長年の研究に基づいて製造している物なので、それさえ与えていれば栄養のバランスは取れるということです。そして、第二番目の理由としては、「人間」の食物を与えると、市販のドッグフードを食べなくなる恐れがある、そして、人間が食べている物をその場で分け与えるのは躾の観点から良くない、ということでした。

どちらも納得できる理由だと思いませんか?ドッグフードを作っている会社はそれを専門に研究しているわけですから、犬にどのような栄養が必要なのか、そのためには何を食べさせればいいかということについての専門家のはずです。専門家がいいと言うならそのはずだと思いますよね。第二番目の理由の「人間」の食べ物に慣れると市販のドッグフードを食べなくなるというのは、「犬は市販のドッグフードを食べるものだ」という考え方に基づいたものですが、ドッグフードの手軽さを考えると、「人間」の食べ物に慣れてしまったためにドッグフードを食べなくなると困ると思います。「人間が食べている物をその場で与えるのは躾の観点から良くない」というのは、犬がパック・アニマルであることを考えると、これは今でも本当だと思います。自然界では犬は群れで生活する動物ですが、集団の中には常にパック・リーダーを頂点とした序列が存在します。獲物を獲得した場合、まず一番先に食べるのはパックリーダーであり、パックリーダーが食べ終わると他の犬は序列順に上から食べる事を許されるという仕組みになっているわけです。コンパニオン・アニマルとして人間と生活する犬の場合、その集団では人間がパックリーダーになるべきで、パックリーダーである人間が自分の食事中に犬に食べ物を分け与えるということをすると、序列が混乱します。温和な性格で「私は下の方でいいの」というタイプの犬にとっては、これは別に問題にならないと思いますが、幸のようにアルファ性質を持ち合わせた犬の場合は常にパックリーダーの座を狙っていますから、気を付けるべきだと思います。家では幸の食事は人間の食事が終わった後で、人間の食事中、幸はテーブルの下で大人しく待っています。一度小さい頃に幸は、私の食事中に座っている私の膝に前足を乗せた事がありました。その時はかなり厳しく叱ったので、それ以来絶対にしなくなりました。

幸を迎えた当時の私は、いろいろな参考書に書かれていた共通項である上記の理由を信じ、幸の食事は市販のドッグフードを与える、と決めました。栄養の面でも躾の面でもその方が安心だと思ったわけです。市販のドッグフードと一口に言っても、本当にたくさん種類があります。参考書には、仔犬を迎える場合には特に、環境の変化によるストレスのため胃腸障害を起こしやすいので、ブリーダーが与えていたドッグフードと同じ物を最低一週間程与えるのが良い。替える場合にはそれ以降徐々に新しいものに移行する、と書かれていたため、ブリーダーにフードの銘柄を教えてもらいそれを与える事にしました。ブリーダーが使っていたのは、ピュリーナ社の「パピーチャウ」という幼犬用のドッグフードでした。これを幸が1歳になるまで与え、それから成犬用の「ドッグチャウ」その後「ONE」というものに替えました。同じ会社のものにしたのは、幸の健康状態を見ていて問題がなさそうだったためです。ただ、今から考えてみると生後7、8ヶ月の頃から食欲に「むら」が出ていたのですが、もしかしたらそれはこのドッグフードが合わないということを訴えていたのかも知れません。幸はわりと健康で、今まで大きい病気をしたこともないため、食欲にむらがあるのはただ単に甘えているのか、体が要求していないのか、どちらかだろうと楽観して、あまり気に留めませんでした。それに、お腹が空けば与えられた物を食べていたので、別に問題ではないと思っていたのです。

ところが、1歳を過ぎた頃からアレルギー症状が出るようになりました。初めは外耳炎でした。耳が気になるらしくしょっちゅう耳を掻いていて、とうとう耳のあちこちに傷が出来て出血してしまいました。獣医の所で耳の中がおかしくなっているかどうか診てもらったのですが、検査の結果細菌も見つからなく、傷を治療するために抗生物質入りの軟膏を処方してもらっただけでした。その次は目に来ました。猫が顔を洗うような感じで前足で目を何度も掻き、目の周りが爛れお岩さん状態になってしまいました。あまり何度も目を掻いていたので、角膜に傷が付いていることが心配されたので、また獣医のところに連れて行きました。処方されたのは、抗生物質入りの軟膏状の目薬です。この時獣医から「この犬はアレルギーがあるかもしれないから、症状とそれが現れる季節を記録しておくように」と言われました。

猫が顔を洗うような感じで、何度も目の周りを前足で掻いていました。 爛れてしまった目の周り。痛々しいです。

そう言われてみると、思い当たる事が多々ありました。体をしきりに掻いている時期もありましたし、外耳炎が出たのも目が爛れたのも春と夏の終わりに集中しています。そうなると、アレルゲンとしては花粉が疑われます。この辺では、春はいろいろな植物が一斉に芽を吹くので、人間にもかなり辛い季節です。私のくしゃみ、目の痒みが始まる頃に、幸のカイカイも始まっていました。夏の終わり頃にはブタクサが芽吹きますが、幸はどうもそれにも弱いようです。一年のパターンを見てみると、春は体のカイカイで禿げができる、夏の終わりは目に来て爛れる、というようになっているようです。

二歳になった頃から、体のカイカイが出ている時期が、だんだんのびていることに気が付きました。季節的なものだったら花粉だけを疑いますが、一年中体が痒いとなると他にもアレルゲンがあるようです。考えられるものとしてはハウスダストですが、これには私自身も弱いので、掃除はできるだけしているつもりでした。それに気が付いてからはさらに気を付けて掃除をするようにしましたが、幸のカイカイは一向に改善される様子はありませんでした。となると、後は食物です。外耳炎、目の痒み、体の痒みがなかなか改善しなかったので獣医に相談すると、食事療法を勧められました。アレルゲンとなりそうなものを排除した処方フードを3ヶ月間食べさせ、それから一つづつこのフードに入っていない食物を与えていくことにより、アレルゲンを突止めようという方法です。食事療法をしている間は、処方フード以外一切食べてはいけないことになっています。この療法を勧められたのが2月頃だったのですが、その二ヶ月後の4月にはフィラリアの経口薬を与える時期になるため、処方フードは買って来ましたが結局食事療法はしませんでした。

夏の幸のお腹。毛が抜けてしまい、皮膚が露出してしまっているだけでなく、齧る、舐めるを繰り返していたために皮膚の色素沈着も見られます。 両目が爛れて腫れてしまっています。

食事療法ではなく、他の何らかの方法でカイカイを改善しなければなりませんでした。まず今までの食生活の見直しを行う事にしました。それまで幸が食べていた物は、フードと犬用ビスケット、ローハイドなどです。何がアレルゲンなのかを知るために、「おやつ」は一切与えない事にし、フードをカリフォルニア・ナチュラルに替えました。これはアレルゲンとなりそうな物を一切使っていない、ラムベースのフードです。今までのフードの原材料を見てみると、見ただけでは何か分からないものがたくさん入っていて、これでは何がカイカイの原因なのか突き止めることは不可能です。カリフォルニア・ナチュラルは幸の体に合っているようでした。症状もある程度改善され、カイカイに一年中苦しめられることはなくなりました。しかし、カイカイが出なくなったわけではありません。季節ごとの禿とお岩さん状態は改善されませんでした。

不思議ですよね。「栄養のバランスの取れた完全食」であるはずの市販のドッグフードを与えていて、健康状態が100%でないというのは。その頃からドッグフード自体について疑問を持つようになりました。もちろん質の悪いものよりはいい物の方が犬の体にも良いはずです。しかし、質の良い完全食であるはずのドッグフードを食べている犬が必ずしも健康だとは限らないわけです。ということは、市販のドッグフード自体が本来犬の体が必要としているものと何かが違うのでは、あるいは、完全食だと唱われていても何か足りない成分があるのではないか、と考えるようになりました。では、犬の体が本来必要としているものは何なのでしょうか。私はそのことについての知識がほとんどなかったので、調べてみる事にしました。

犬の食餌関連のウエブサイトやメーリングリストをチェックし、関連著書を何冊か読んでみました。その関連著書の一冊はBARF(Biologically Appropriate Raw FoodあるいはBones And Raw Food)を勧めていました。これは一言で言ってしまえば、例えば犬なら元々野生の犬が食べていたような食事を与えるのがいいとする考え方です。このような犬の食事関連の著書を何冊か読むうちに、何が犬にとって必要なのかだんだん理解できるようになりました。自分なりに納得できた段階で実践に踏み切る事にしました。BARFが犬の食事としては適当だということは、知識として理解できましたが、これを実践するとなるとなかなか大変です。食事は毎日のことですから、時間と労力の確保がまず必要です。それで私はまず初歩段階として、BARFの考え方を頭の片隅に置き、犬の体にいいとされるものをできる範囲で与えてみる、というアプローチを取ることにしました。これが2002年5月のことです。それ以来さらにいろいろな関連著書を読み、メーリングリストなどにも目を通すうちに、段々スタイルが変化して来ました。

2004年8月現在(幸・5歳)、「幸飯(さちめし:幸のご飯)」はBARFを基本にしたものに定着しています。毎日の幸飯の内容については、Journalに写真入りで紹介していますので、そちらをご覧下さい。

 

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