::: Sachi's Homepage :::

Diet for Healthy Shibas:健康な柴犬のための食事

 

はじめに】・【BARF Diet】・【実践】・【Commercial Raw Food】・ 【関連著書】

 

■ 参考文献 ■

詳しい内容:【洋書】・【和書

BARF Diet, The, Ian Billinghurst, 2002

Dr. Ian Billinghurstの3冊目の著書で2002年に出版されたものです。110ページに満たない小さな著書ですが、BARF dietの理論と実践という感じで、プラクティカルなインフォメーションに溢れた本です。

私が初めてBARFという言葉を聞いた時は、あまりいいイメージを持ちませんでした。と言うのは、普通'barf'と言ったら「吐く」という意味だからです。もちろん、BARFの方は全て大文字で書かれていることから分かるようにアブリビエーションで、私がよく見るのは'Bones And Raw Food'です。しかし、普通'and'のようなものはアブリビエーションではあまり使わないんですよね。ですから、「変だなぁ、無理に'barf'(吐く)という言葉とかけたのかなぁ」と思っていたのですが、THE BARF DIETを読んで分かりました。Billinghurstさんは、BARFは'Biologically Appropriate Raw Food'(生物学的にふさわしい生の食物)、あるいは'Bones And Raw Food'(骨と生の食べ物)を意味すると言っています(p. 1)。この二つの表現には日本語の決まった言い方があるかもしれません。日本語で書かれたものには、「生食」あるいはそのままBARFを使っているのを見た事がありますが、「生食」という言葉がBARFと同義で使われているのかどうか、ちょっと分かりません。要するにBARFというのは、例えば犬なら元々野生の犬が食べていたような食餌を与えるのがいいとする考え方ですよね。

犬は肉食をベースにした雑食だということは、1冊目の著書で述べられていましたが、例えば、野生の犬がウサギを捕まえたとします。ウサギを一匹全部食べると、肉だけでなく、骨、内臓、そしてウサギの胃袋も食べる事によってウサギが食べて半分消化されたものまで食べるわけです。もしこれが自然の犬の姿だとすると、それになるべく近い食餌内容にするのが一番犬の健康にいいのではないか、という訳です。それでBillinghurstさんが勧めているのは、以下のような食餌内容です。生の肉付き骨ー60%、細かく砕いた生の野菜ー15%、生の内臓肉(肝臓、腎臓、心臓)ー10%、よく熟した果物ー5%、残りの10%は糞や土の成分に近い物(p.17)(犬はこの両方を食べる事がありますが、それには時によって必要な栄養素が含まれているからだそうです)。

最初の90%までは見ただけで理解できますが(野菜は与えない方がいい物もありますが)、最後の10%は具体的には何がいいのかと思いますよね。例として上がっていたのは、卵(殻も)、細かくひいたフラックス・シード、ナチュラル・ヨーグルト、粉末状のケルプ、生の潰したガーリックなどです(p. 68)。

Barker's Grub: Easy Wholesome, Home Cooking for Your Dogs, Rudy Edalati, 2001

Barker's Grubという、犬のための手作り食ビジネスを営む人の著書。210ページほどのうち約80ページはレシピで、すべて調理食になっています。私が犬の栄養関係の本を読む目的はそのコンセプトを学ぶためで、レシピは参考になるもののそれほど興味がありません。ですからレシピが大半を占めるタイプの本より、「私は犬の食餌についてこう思うぞ」と語ってくれるタイプの本の方が楽しめます。ただこの著者のレシピは、いろいろな疾病の症状緩和やその予防のためのものだけでなく、精神面での問題の「アグレッション」と言われる攻撃性対策のためのものもあり、おもしろいなと思いました。高脂肪の食餌がアグレッションを押さえるのに効果があるそうで、高脂肪のポーク、オリーブオイル、マカロニ、マッシュドポテト、ディル、フラックスシード・オイル、シラントロがそのレシピの材料です(p. 175, 176)。

もう一つおもしろいと思った点は、犬種によって必要摂取食物が違うと考えている点です。これはWilliam D. Cusickの影響のようですが、彼はその著書Canine Nutrition (Doral Publishing, 1997) で、その犬種の原産国の食生活と必要摂取食物に与える影響について述べているそうです(p. 37)。例えば海の近くが原産地である犬は、同じオメガ3脂肪酸を摂取するにも、淡水魚より海水魚を食べた方が体に合っているとか、チワワのような熱帯地方が原産地である犬は、マンゴやアボカドなどの熱帯地方で取れるフルーツからのビタミンやミネラルが必要だというわけです(p. 38)。

10ページに渡って、いろいろな犬種に必要な食材がリストになっています。リストは犬のサイズ別で、犬種、原産国、体重、使用目的、必要な食材が上がっています。リストを見ていくと、なんと柴犬もありました。この著者が考える柴犬が摂取するべき食材は、サツマイモ、緑の葉野菜、キャベツ、ごはん、家禽類(チキンやターキー)、ラム、魚、となっています。説得力があるような無いような内容ですが、犬が長い間人間と一緒に暮して来た事を考えると、その地域の人々が食べているものを食べて来たと考えるのは、間違ってはいないでしょうね。

ただ、柴犬についての情報があまり正確ではありません。体重が30〜40ポンドとなっているんですよ。AKCのスタンダーズによると、理想体重は牡が23ポンド(10.5キロ)、牝が17ポンド(7.7キロ)です。Edalatiさん、柴犬の平均体重が30〜40ポンドという情報、一体どこで見つけたんでしょうかねぇ。まあ、幸のことを考えると、牝の理想体重を5ポンドオーバーで22ポンドもありますから、理想体重より重い犬も軽い犬もいるというわけですけどね。それにしても、「柴犬はだいたい30ポンド(13.6キロ)から40ポンド(18キロ)の犬です」と言われたら、実際の柴犬よりもかなり大柄な犬を思い浮かべますよね。

Becoming The Shef Your Dog Thinks You Are, Micki & Yogi Voisard, 2001

著者の名前が二つあるので、この本は共著のように見えますが、実はMickiさんが本当の著者でYogi君は彼女と一緒に住むチャイニーズ・シャーペイです。彼は先天性の癲癇の問題があるのですが、Mickiさんの手作り食で上手に発作と症状の悪化を押さえています。

Voisardさんの文体はリラックスしていて、楽しく読める本です。経験談をふんだんに含むお話風に書かれているので、読んでいておもしろいのですが、大切なことはきちんとカバーされています。Voisardさんが強調しているのは、犬には「本物の食べ物を与えるべきだ」(p. 53)ということです。Voisardさん「本物の食べ物」の定義は、「自然からの恵みで、果物、野菜、動物の形で、プロセスしたり改変したりされていない物」(同)ということです。食物を調理することは、自然の状態の食物の性質を改変することに繋がり、「分子が固く結合してしまうために消化が悪くなり、犬の体にとって不自然なものとなる」(同)ということです。Billinghurstさんの場合は、その理由で生で食物を与える事を勧めているのですが、Voisardさんはもう少しリラックスしたアプローチを取っています。Voisardさんが手作り食を実践している犬の飼い主にインタビューした結果、食物を調理して与えている人も生で与えている人もいたということです。それで、「犬種に合った」(同)方法を取るのが一番いのではという結論になっています。「その犬種の原産国は?その国ではどんな食物を与えられていたか?その犬種の元々の目的は?どんな仕事をする犬なのか?」(同)。

Billinghurstさんの意見と共通していることは、「獲物について考える」ということです。犬にどんな食物与えたらいいのか考える場合には、犬がコンパニオン・アニマルとして人間と暮らすようになる前の状態を考えてみるといいというわけですね。「もし犬が野生の状態で生活しているならば、鳥、ウサギ、ネズミ、ラット、魚、昆虫、卵、植物、ナッツなどが獲物になる」(p. 54)ということです。
この著書は全197ページで10章からなりますが、その内の一章が「お肉屋さんと仲良くなる」というトピックにあてられています。これは私が今までに読んだ本には全く書かれていなかったことで、おもしろいと思いました。犬と暮らしている人が市販のドッグフード以外の犬に与えようとすると、当然肉屋にしばしば通う事になります。スーパーで肉を買うなら、パックされているものを適当に吟味して選ぶ事になりますが、肉屋で肉を購入する場合には、お肉屋さんとある程度のコミュニケーションが必要になります。このコミュニケーションが上手にできる人は、その戦利品として犬においしくて栄養があり、値段に見合う肉を与える事ができるというわけです。

Voisardさんによると、お肉屋さんは肉の専門家ですから、学ぼうとする態度のお客さんには「教えてやるか」という気持ちになるそうです。お客さんとして肉屋に行く場合には、犬のための肉を探しているのですが何かお勧めありますか、という感じでアプローチするのがいいそうです。印象付けるために、犬の写真を持参して「これがうちの犬なんだけど、どうも市販のドッグフードだけでは十分でないので、質のいい肉を食べさせてやりたいと思うんだけど」というと、次からは肉屋さんの方が覚えていてくれて、「今日はこんなのがあるよ」なんて勧めてくれる可能性も出て来るというわけです。

Voisardさんは以前はかなり厳しいベジタリアンだったそうです。それで肉を扱うのに抵抗があると書いてありましたが、これは私もよく理解できました。私はベジタリアンではありませんが、家禽類を含む全ての肉を食べません。ですから、幸に鶏の生肉を与え始めた時には、かなり抵抗がありました。特に鶏生肉はサルモネラなど人間には有害になる菌の恐れがあります。Voisardさんが、鶏生肉を扱う場合にはキッチンカウンターでなくシンクを使って、使用後は熱湯でよく消毒すれば楽だと書いてあったのを私も実践しています。日常的に肉をダイエットに取り入れている方には、何でもないことなのでしょうがね。
この著書の最後に、MickiさんとYogi君がお揃いのシェフの白い服を着て写っている写真があります。シャーペイってクシャっとしてかわいい顔をしていますね。

Food Pets Die For: Shocking Facts About Pet Food, Ann N. Martin, 1997

カナダに住む愛犬家、Martinさんの最初の著書です。彼女は与えた市販のドッグフード(ドライ)が原因で愛犬を亡くすという経験をしたため、裁判を起こした人です。その過程で調査して判明したいろいろな事実がこの著書には書かれています。ほとんどがファースト・ハンド・インフォで、なかなか気合いの入った著書です。

市販のドッグフードの中には、肉と言っても何の肉を使っているのか分からないような粗悪な物もあることは知っていましたが、この本にはかなりショッキングなことが書かれています。Martinさんが市販のペットフードの中味についての調査をしていた時、米国のある獣医が、ペット(犬、猫、その他)がペットフードに使われるのは日常的なことだと教えてくれたそうです(p. 25)。その獣医によると、精製するのは安楽死したペットの安価な処理法だそうです(オーナーが受け取る場合は別)。ペットは、スーパーで腐ったしまった肉、レストランから出るグリースとゴミ、4-D(dead, diseased, dying, and disabled)の動物、路上轢死動物、そして動物園の動物などと共に混ぜられます。安楽死した動物は、動物病院を経て受理工場に行き、その後ブローカーの所に、そして最後には精製工場に行って、製粉工場やペットフード会社に売られるという仕組みになっているそうです(p. 27)。ペットが最終的に精製される場合には、米国とカナダ相国で、皮毛はそのまま、首輪、ノミ捕り用首輪、ペットが包まれているビニール袋まで取り除かれる事なく精製されてしまうそうです(同)。カナダのケベックの農務省によると、「死んだ動物は内臓、骨、脂肪などそのまま摂氏115度(華氏230度)で20分間調理される」(同)ということです。ペットをペットフードに使うという事実は、もちろんどの市販のペットフード会社は否定しますが、Martinさんは調査の途中でいろいろな証拠を見つけ、そのような結論をだしています。これが本当だとすると、そのような肉類の混入した市販のドッグフードは、それを食べる犬や猫の健康面、そして倫理面の双方で問題がありますね。

その他には狂牛病、市販のドッグフードの規制法について、健康な犬のためのレシピなどがの項目があります。Martinさんは現在犬と猫と暮らしているそうですが、御自分の過去の経験から、市販のドッグフードなどを一切使わず手作り食を実践しています。彼女のアプローチは、肉、家禽類は全て火を通してから与えるべきだというもので、二番目の著書ではっきりしますが、BARFには反対しています。

Give Your Dog A Bone, Ian Billinghurst, 1993

この本の著者はオーストラリア人の獣医で、Dr. Ian Billinghurstという人です。この人は今ではBARF dietで有名ですね。彼は3冊の著書がありますが、Give Your Dog A Boneは一番最初のものです。

この本の内容は、最初に犬の食餌に関する通念、市販のドッグフードや手作り食の問題、犬の基本的栄養について扱い、次に骨と生肉を犬に与える利点、野菜、果物、卵、内臓肉、残飯などについて、サプルメント、与える量、仔犬の食餌、成犬の食餌、老犬の食餌、など多岐に渡っていますが、基本的には料理していない骨、肉、野菜を犬に与える利点について述べられています。確かに犬が人間と暮らすようになる前には、料理した物を食べていた訳ではないので、生の方が自然と言えば自然です。料理してある食べ物には、もちろん市販のドッグフードも入ります。彼が繰り返し述べている事は、「犬は肉食の歴史を持つ雑食性動物なのだから、それに見合う食餌をさせるのが犬の健康のために一番いい」ということです。

そういう基本的な考え方も参考になりましたが、この本には具体的な食餌のガイドラインがあり、役に立ちます。例えば、骨と言っても、どんな骨がいいのかと疑問に思いますが、この本には「生の骨付きの鶏肉が栄養価、安全性、歯及び歯茎の健康に貢献するという面から最も理想的だ」と書かれています。生の鶏骨と比較されているのは、牛骨やラム骨で、牛骨は「避けられるならそうした方がいい」そうです。理由は、新鮮でない可能性がある、固い可能性がある、他のと比べてトキシンを多く含有する、必須脂肪酸量が少ない、骨に付いた肉の残っている量が少ないことが多い、などです。ラム骨の方は、脂肪が多いかもしれないので、それを取り除くようにという注意があります。それから、ラムというのは「小羊」ですから、若い動物なわけですね。それで骨も柔らかくトキシンの含有量も少ない、脂肪が多いので必須脂肪酸の量もまあまあ、ということです。生の鶏肉に関する注意としては、サルモネラ菌などのバクテリアを含むということです。健康な犬はこれは普通問題ないそうですが、生の鶏肉を扱う人間が気を付けなければいけないこととして、生肉を扱った後はよく手を洗うとか、まな板や包丁を使った場合には熱湯消毒をするようにと書いてありました。基本的なことだと思いますが。

以下はこの著書の目次のページの翻訳したものです。これは著者であるIan BillinghurstさんにSachi's Homepageで発表する許可をいただいたものですので、無断転載は固くお断りいたします(著作権法違反になります)。この著書は近々日本語に翻訳されて出版されるそうですが、そのプレビューということで、目次のページだけ翻訳する許可をいただきました。

現代犬の食物摂取に関する通念
調理食か生食かについての疑問
適を知るー市販のドッグフード
手作り食にありがちな問題
食物ーその中身は?
食物の食べ合わせ
犬の餌としての骨
犬の餌としての肉
犬の餌としての内臓肉
10 犬の餌としての緑の葉野菜
11 犬の餌としての果物
12 犬の餌としての穀物と豆類
13 犬の餌としての乳製品
14 犬の餌としての卵
15 犬の餌としての残飯
16 有益な付加物(訳注:サプルメント等)
17 仔犬の食餌
18 成犬の食餌
19 どのぐらいの量を与えればいいの?
20 新しい食餌を始めるにあたって
21 ベジタリアン・スタイルの食餌をさせる
22 健やかな老年を迎えるための食餌
K9 Kitchen-Your Dogs' Diet: The Truth Behind the Hype, Monica Segal, 2002

カナダの「動物健康管理者」としての免許を持つ人の著書。犬の食餌/栄養関係の本をいろいろ読んでいくうちに分かってきますが、どれもフォーマットはだいたい同じです。たいてい、個人的な経験による問題提起、解決法としての食餌について、そしてレシピという感じになっています。この類いの著書にはそのほとんどがレシピで、「もう少し語って欲しいな〜」と思うものも少なく無いのですが、この著書は十分語っていると思います。「犬の栄養関係の著書には、少なくとも2、3のレシピを入れることが期待されているが、私にとってはこの項が最も困難だった」(p. 152)と本人も言っていますが、レシピに費やされているのは200ページちょっとの著書の10ページほどです。

この著書には、かなり共感できるところがありました。というのは、著者の考え方がとても合理的であるためです。この著者の犬の食餌に対する理念は簡単に言ってしまえば、「犬は個体差がある。その個体に合うものを与えればよろしい」ということです。「調理した食餌を与えている人々は、いろいろな理由からそれが最高の方法だと信じて疑いません。生の食餌を与えている人々も同じように、自分達は正しい食餌法を実践しているのだ、と信じているはずです。実際には、多くの犬は色々な食餌方法で健康が保てるようです。もし一つの食餌法だけが正しいとすると、その食餌法をしていない犬は健康ではなくなるということになります。実際にはそうではないわけですから、様々な疾病、食べ物に対する過敏性、遺伝学的な素因など異なった状況下において、最高の食餌法が何かについて完璧な答えを持ち合わせている人はいないと私は思うのです」(p. 24)

この著書には、生の食餌と調理した食餌にいついての両方の項があり、それぞれの利点が書かれています。幸が下痢をした時に、こういう場合は生ものは控えた方がいいのではないかと直感的に思い、炊いたご飯と鶏肉の茹でた物を与えました。この著者も同じようなことを言っています。犬の体調が優れない時には面力力なども弱っている場合が多く、普段は問題なく受け入れられる物が問題になることもある。だからそういう場合には、調理食の方が無難だというわけですね。穀物に関しても、「一緒に生活している犬に合った食餌法を取るべきだ。もし穀物がその犬に合っているなら、使うことに私は抵抗はない。当然、穀物が食餌の大部分を占めるべきだと言っているわけではないが、個体に合ったものを与えるべきだ」(p. 71)と言っています。

犬という種に合ったベースラインとなる食餌法はあるでしょう。ただ、これだけいろいろな形、大きさ、性質、そして環境下で生活する犬がいるのですから、「この食餌法がどの犬にも絶対に合います」というのがある方が不思議ですよね。こういうことを考えると、ドッグフード業界は大変だと思います。犬のライフステージに合わせたものは作っていても、それ以上のカスタマイズは出来ませんからね。その点、家庭で食餌を用意している場合には、一緒に生活している犬の健康状態、年齢、運動量、などを観察しながら食餌内容を調整して行く事が可能です。

Natural Food Recipes for Healthy Dogs, Carol Boyle, 1997

この著書は今までに読んだ犬や猫の食餌及び栄養に関する本とはちょっと毛色が違っていました。著者はCarol Boyleという人で、「受賞歴のある著者。大学の犬に関するコースの栄養学の部分設立に寄与した」という紹介文があります。どの「賞」なのかどの「大学」のコースかは書いてありませんが。インデックスを入れても全部で150ページほどの本なのですが、その3分の2程はレシピです。

この著書の最初の方には、犬の自然食のキーポイントとなる点が挙げられていますが、これを読んだ時に「あ、この本の著者は今まで読んだ本の著者と考え方が全然違う」ということがすぐに分かりました。というのは、まず「食物連鎖の一番底の部分、つまり穀物と野菜に注目すること」(p. ix)と書かれていたからです。この人が勧めている比率は、摂取量の4分の3は野菜と炭水化物/穀類、4分の1が質の高い蛋白質だということです(同)。そして次のタイトルは「肉、魚介類、家禽類(訳注:鶏、七面鳥等)、卵はすべて火を通す事」で、「肉、魚介類、家禽類、卵は絶対に生で与える事のないように」、「生命を危険にさらす可能性がある」(同)とも書かれています。その前に読んだ犬の食餌/栄養関係の本には「生肉を与えるのは犬の自然の食生活に適ったものである」と書いてありましたが、全く反対です。まあ、生の肉付き骨を与える場合はある程度のプリコーションが必要だと思いますが、健康な犬の場合人間とは違い、例えばサルモネラ菌などは別に問題にならないと前に読んだ著書には書かれていました。

この著者が強調しいているのは'Scatter-Shot Theory'で、いろいろなものを満遍なく食べさせるのがいいとする考え方です。「バラエティ、適度、バランス」が最も重要だと言っています(p. 18)。そしてもう一つのポイントとしては、「その犬の原産国の人々の食生活を知ることにより、その犬に適当な食物を見つけることができる」(p. 15)ということです。この例としては、グレートピレニーズで、アメリカに住むようになる前に3千年以上もフランスとスペインの間の山中に住んでいたので、フランスパンが好きだとしてもそれは別に自然なことだということです。

犬と食べ物をシェアーするというのがこの著者の基本的な考え方なので、レシピのセクションを見ると「これは犬が食べても大丈夫なのかな」と思われる物が多々出て来ます。例えば「茹でた海老」(p. 30)。私はずっと甲殻類は犬には与えない方がいいと思っていましたが、この著者の犬は大丈夫なようですね。そしてチキンスープのレシピ(p. 32)では、ソテーしたタマネギを入れると書いてあるのですが、タマネギも確か犬には与えない方がいい食物の一つに入っていたような...。

このように全く違う考え方を見ると、一体何が本当に犬には良いのだろうかと思います。この著者の犬(グレートピレニーズ)は14歳になっても元気だそうで、これはこの犬種の平均寿命を遥かに超えた年令です。海老を食べてもタマネギを食べても大丈夫で、長生きできる犬もいるわけですよね。

Natural Nutrition for Dogs and Cats, Kymythy R. Schultze. 1999

この著書は135ページほどの小さいものですが、いろいろなトピックを割と広くカバーしている本だと言えると思います。著者であるSchultzeさんも基本的には生食を勧めているのですが、BARFという言葉は一度も使っていません。この人が使っているのは「その種に最適な栄養」(species-apprioriate nutrition)という言葉です。基本的な栄養素の話から、断食の勧め、おやつについて、旅行中の食餌について、有益なハーブ、与えない方がいい食材、妊娠中のメスの食餌、老犬/猫の食餌についてなどが主なトピックです。この著書の終わりには、Schultzeさんの考え方に賛同する人々の体験談が載っており、アレルギーやその他の健康状態が改善されたという話だけでなく、問題行動の改善も行われたという証言がいくつかあり、おもしろいと思いました。'What you eat is what you are.'(その人の心身の健康は食事に左右される)ということをよく言いますが、犬や猫の場合も同じなのかと思いました。便利なのは、付録にある「関連著書一覧」です。100以上の関連トピックについての著書のリストがあり、知っているものもありましたが知らないものも多く、つくづく奥が深いと思いました。

この本の著者が言っていることでなるほどなぁと思ったのは、犬の一回の食餌の質や量にあまり神経質にならなくてもいいということです。これは私のような初心者には特に朗報です。私達が日常的に人間用の食事の用意をする時に、毎食毎食、蛋白質◯%、脂肪が◯%、繊維が◯%で水分◯%などと考える人は少ないですよね。少なくとも私の場合、お昼にちょっと繊維が足りなかったなと思ったら、晩御飯に何か繊維質の物を食べるぐらいの配慮はしていますが、毎回それほど神経を使っているわけではありません。そして量の方も、お昼御飯を食べ過ぎたと思ったら晩はちょっと少なめするとかで、調節していますよね。犬に与える食餌も、一回の食餌単位ではなく、一日に数回食べる場合には一日あたり、あるいは一週間というスパンで、必要な栄養が満遍なく取れるような食餌にすればいいそうです。これは考えてみれば当たり前ですよね。自然の状況では、獲物が手に入る時もそうでない時もある訳で、それでも野生の動物はちゃんと健康状態を保って生きているのですから。

もう一つは、絶食についてです。この著書の付録には、一ヶ月のモデルメニューが載っているのですが、それによると毎週一回、日曜日が断食日になっています。この日の摂取物としては、新鮮な水のみ。断食の目的は、消化器官を休め、消化に必要なエネルギーを他の器官に分配し、自然浄化作用を促進するためだそうです。これはどの犬や猫にも勧められているわけではなく、1歳以上の健康な犬や猫ということになっています。1歳以下は、一週間に一回、半日絶食するといいそうです。

絶食中はお腹が空いて、犬の方から食餌の請求があるかもしれませんが、かわいそうでもそこはぐっと我慢しなければいけないそうです。Schultzeさんは、食餌を与えないのは犬を無視しているわけではないということを犬に分からせるために、いつもよりもたくさん遊んであげるとか、トレーニングをするとか、撫でてあげるとかするといいと言っています。

Protect Your Pet, Ann N. Martin, 2001

Food Pets Die For: Shocking Facts About Pet Foodの著者、Ann N. Martinの二冊目の本です。彼女は前著と同様、丹念にリサーチをしてまとめています。ペットフードについて、ペットフードの規制について、狂牛病とペットフードについて、過剰予防接種にいて、動物の癌、そして動物虐待について。いろいろ有益な情報が有るのですが、私が特におもしろいと思ったのは、彼女のBARFに関する見解でした。著書の中で一章を「生肉食に関する論争」という題でBARF批判に当てています。

彼女はまず、生肉の安全性について杞憂しています。「生肉が人間にとって危険なものなら、どうして犬や猫には安全だと考えられるのか」(p.69) という危惧ですね。 ビリングハーストは、犬は古来生肉を食して生活してきて、人間に有害な寄生虫などは健康な犬には問題にならない場合がほとんどだという主旨のことを、Give Your Dog A BoneでもThe BAFR Dietでも言っています。彼が心配しているのは犬ではなく、その犬の食餌のために生肉を扱う人間の方ですね。もちろん彼は新鮮な、できるかぎりオーガニックの生肉を与えるべきだとは言っています。Marinの二番目の杞憂は、犬に骨を与えることについてです。彼女は長年いろいろな獣医師に、骨は生でも調理してあっても犬には与えるべきではないとアドバイスを受けて来たそうです。調理した骨については、以前はこのようなことが言われていましたね。生の骨についても同じでしょうか。

彼女のBARFに対する見解の結論としては、この章の最後にはっきりと書かれています。「生肉中心の食餌の様々なアスペクトについて長年研究を行った結果、非常に疑問がある食餌法を私の動物達に行う事によりリスクを犯すことはしたくない、という結論に達しました。生肉ダイエットに関する問題点はその恩恵を上回ります。ドクター・ビリングハーストの功績は認めます。私達は、市販のペットフードを与える事による害については意見を同じくしますが、残念ながらそれ以外の食餌法については意見が分かれてしまったと言わざるを得ません。生肉をペットに与えている飼い主は、できる最高のことをペットにしてやっているのだと思っているはずです。しかし、上記の(訳注:この章でそれまでにBARFに対する反対意見として述べられた)獣医学分野の様々な専門家による意見を統合すると、私のペットには生肉を与えるべきではないと確信したのです。」(p. 90)

Real Food for Dogs, Arden Moore, 2001

この本は正直、イラストにひかれて買ってしまいました。Anne Davisという人が描いているものですが、表紙・裏表紙だけでなく、本のいろいろなところにかわいい犬の絵があります。とても単純な絵なのですが、なかなか味のあるいい絵だと思います。

さて、かわいいイラストはさておき内容の方ですが、この著書の副題に書かれているように「食通犬のための獣医が承認した50のレシピ」です。それだけでなく、所々にためになるお話しが挿入されていて、私はこちらの方が読んでいて面白いと思いました。基本的な考え方はBARFに反するもので、犬に与えない方がいいものとして挙げられている物のリストを見るとよく分かります。リストには、牛乳、チョコレート、タマネギなど、普通与えない方がいいとされている食材の他に、本物の骨は「嘔吐、下痢、便秘、腸における障害、内臓出血」(p10)を起こす可能性があるので、「ローハイドやナイロボーン(プラスチック製の骨)」(同)を与えた方がいいと書かれています。生肉に至っては、サルモネラの危険性が述べられていて、与えない方がいいと書いてあります(p11)。生魚については「サケ、ニシン、ナマズ、コイはチアミナーゼという酵素を含有しているため、ビタミン・チアミン(ビタミンB1)を破壊する可能性があるそうで(p11)与えない方がいいと書かれています。この辺では生で食べられるお魚は普通手に入らないので幸に与えたことはありませんが、柴犬のBARFリストで生鮭を与える是非についての議論があった時に、やはり与えない方が無難という結論が出ていた様です。これは人間の方の文化の違いかもしれませんね。日本のようにスーパーに行けばお刺身やお寿司が手に入り、それを当たり前として食す文化と、生魚を食べるなんて普通では考えられないとする文化の差異ではないでしょうか。

目からウロコというタイプの本ではありませんでしたが、とにかく読んでいておもしろい本でした。

 

はじめに】・【BARF Diet】・【実践】・【Commercial Raw Food】・ 【関連著書】