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豆柴について

September 01, 2004

数年前から、「『豆柴』というのは何ですか」「『豆柴』が欲しいのですが、どこで手に入りますか」「『豆柴』のブリーダーは米国にいますか」等の質問内容のメールが、私の所に届くようになりました。北米に住む日本人/日系人で、柴犬のことを知っている方からの問い合わせの場合もありますし、どこかで「豆柴」という「犬種」がいるということを聞いた方からの場合もあります。最近ではカナダのブリーダーから、「家のケンネルには標準サイズよりも小さい柴犬がいるのだが、豆柴について詳細を教えて欲しい」というメールが来て、有意義な意見交換をするチャンスに恵まれました。

その時に、日本には「豆柴」の定義があるかどうか調べてみたのですが、私が見た限りでは「定義」はなく、標準サイズの柴犬よりも小型のものを「豆柴」と呼んでいるらしい、ということが分かりました。そしてその名称も、「豆柴」の他に「小柴」「ミニ柴」などもあるようです。標準サイズの柴犬よりも小型だというだけで、決まった名称がある訳でも、スタンダードの定義があるわけでもないものですから、その解釈は人によって違うと言ってもいいのでしょう。

ある「豆柴」を購入した方から聞いたことですが、標準サイズの柴犬よりも小さい希少価値の柴犬の仔犬ということで、ペットショップでかなり高価な値段で購入したそうです。しかし「豆柴」のはずだったのが、成長するに従って標準サイズの柴犬と変わらない大きさになったのだとか。実際、「豆柴」として購入したのに成長したら標準柴と同じ体型になったという話は、わりとよく聞きます。しかし、標準サイズの柴犬と同じ大きさになったから返品します、あるいは交換して下さい、という飼い主は希なはずですし、成長して標準サイズよりも小型の柴犬になるケースももちろんあるのでしょうから、販売者の方も「希少価値だから高価だ」として売ることが出来ているのが現実なのでしょう。

犬を繁殖によって小さくするには、いくつか方法があるのだと思いますが、一般的なのは小柄な両親犬からは小柄なリッターができると考え、小柄な母犬と父犬を使う方法でしょう。一代でリッター全体が小型になるわけではないと思いますが、リッターの中に一頭でも小柄なものができれば、その犬を使って小柄な犬と掛け合わせる。それを繰り返すことによって、元のサイズよりも小柄になっていくのでしょうか。

もう一つは、あまり信じたくないのですが、別の犬種を使うという方法。私が聞いた噂(あくまでも噂ですから、事実かどうか分かりません)では、小型の柴犬を作り出すために、ポメラニアンを使うということでした。しかしこの場合、リッターの中には柴のように見える「柴Xポメラニアン」ミックスの仔犬がいるかもしれませんが、全然柴似ではなくポメラニアン似のものもできるでしょう。柴のように見える「柴Xポメラニアン」ミックスは「希少価値」だとされ、高価な値段が付けられるかもしれませんが、柴似ではない仔犬達は一体どうなるのでしょうか。これはあくまでも仮定に基づいた話ですので、実際にはそのような無理な繁殖はされていないことを祈ります。

小柄な両親犬からできたリッターの場合、理論上は仔犬達も成長したら標準より小柄な柴犬になるはずですが、もちろんそうならない場合もあるでしょう。しかし、小型になるかどうかは成長してみなければ分からないわけで、犬の販売者はそのような「理論」に基づいた予測で、「豆柴」として仔犬を販売しているわけですね。販売者の方も、「希少価値」として高価な値段を付けてしまったのに「成長したら標準サイズ柴犬と同じになった」と文句を言われては困る、と考えるのでしょうか。「豆柴」販売者によっては、大きくならないように子犬の頃に「食事制限」を勧める人もいるそうです。これは全く納得できません。どのような犬種でも、子犬の頃には成長するために多大なエネルギーが必要なわけです。そのような大切な時に、大きくならないように食事の摂取量を制限するなんて、その犬の健康を考えての発言だとは全く思えません。

日本犬保存会のサイトのトップページに、「豆柴について」というリンクがあります。それによると日本犬保存会の「豆柴」に関する考え方は、「本会が定めた日本犬標準、登録規定に反し、尚かつ日本犬の血統をも混乱させるもので、規格外の体高不足犬ということで日本犬保存会として公認することはありません」とされています。つまり「豆柴」は、スタンダードから外れた柴犬、だと見なされているわけですね。

「豆柴」が欲しいと思う動機はいろいろあると思います。例えば、日本犬が欲しいけど、住宅事情により日本犬6種の中で一番小型の柴犬でも大き過ぎる、小さい方がかわいい、柴犬が好きだけどもっと小さい犬が欲しい、などなど。そもそも、犬を選ぶ動機や理由は人それぞれですから、「豆柴」を選ぶ理由も選ぶ人の数だけあって当然だと思います。しかし、ただ小さいからという理由だけで、「豆柴」を選ぶのはどうかと思います。「豆柴」が欲しいと思った場合、以下の点について情報収集したり熟考してみるといいかもしれませんね。

1)「豆柴」は、どのように作り出されたものなのか。

2)「豆柴」は、健康や知能上標準サイズの柴犬より劣ることはないのか。

3)なぜスタンダードから外れている「豆柴」がもてはやされ、高価な値段で販売されるのか。