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パック・リーダーになる
飼い主が良きパック・リーダーとなるためには、ルールを決めて、犬をそれに従うように教育することが大切だと思います。それを実行する上で、私は以下の三つの点に気をつけました。 1) ルールを決める時には慎重に。 1)に関しては、幸と生活していく上での具体的なことをいろいろ考えました。例えば、家の中で幸はどこへ行ってもいいのか、トイレはどこでさせるか、など細かいことです。 2)については、犬は「してもいいこと」「してはいけないこと」「するべきこと」などを反復で覚えていくので、こちらが矛盾したことを言うと混乱します。ですから、ルールを決める時になるべく慎重にして(理想的には家族全員で話し合って決めるのがいいのでは)、一度決めたら家族全員がそれを守ることが大切でしょう。例えば、お母さんはカウチに上がってはいけないと言うけどお父さんはいいと言う、という状況ではルールが徹底しません。 3)に関しては、特に仔犬の場合は時間がたってから叱っても、どうして叱られているか分かりません。例えば留守中に仔犬が何かいたずらをした場合、飼い主が帰ってきてからそれを見つけて仔犬を叱っても、仔犬はいたずらをしたことをもうとっくに忘れているでしょうから効果がないわけです。それよりも、仔犬はいたずらをしたという意識がたいていないものでしょうから、せっかく飼い主が帰ってきて嬉しがっているところを叱られたら、混乱してしまうでしょう。幸が仔犬の頃にしたことに対してかなり頭に来たこともありましたが、その場で見つけた場合以外は叱りませんでした。こちらのストレスはたまりますが、犬の躾のため...我慢我慢。 私がパック・リーダーであることを幸に理解させるためにしたこと 1)食事の順序 「食べる」ということは基本的なことでありかつ肉体を維持するためにも非常に重要な行為です。パックの中では、いつもリーダーが先に食事をし、弱者は残り物を食べるというルールになっています。それを応用して、家でもいつもまず私が食事をして、終ってから幸の食事の準備をすることによって、私がパック・リーダーであることをわからせました。 小さいことのようですがこのルールは実行するのが結構難しく、特に幸が仔犬の頃、一日に3回食事をしていたときにはなかなか大変でした。それでも、幸の御飯の時間になるとまず私が何か(ちゃんとした食事でなくて、何かちょっとした物でも)を食べているところを幸に見せておいて、食べ終ってから幸の食餌にするようにしていました。 今では幸は自分の食事の順番を理解し、私が食事をしている間はたいてい食卓の下の私の足元に丸くなって寝ているか座っているかです。私の食事が済み席を立つと幸もテーブルの下から出てきて、後片付けが終るまでキッチンの入り口で待っています。それから幸の食餌の時間になるのですが、食餌を始める時も「伏せ」の状態で待たせておいて、私が「ok」と言うまでは食べてはいけないことしました。これは「伏せ」と「待て」のコマンドを徹底させるいい方法だった思います。今は特にコマンドを出さなくても幸は食べる前に「伏せ」をしますし、その状態で待たせておいて私が他のことをしていても、10分でも15分でもそのまま待っています。 食餌に関しては、私が食べているものをその場で幸に分け与えることは絶対にしません。小犬の頃一度食卓で食事をしているときに幸が私の膝に前足を乗せて食べ物をせがんだことがありましたが、その時にかなり厳しく叱ったせいか今はそのようなことは絶対にしなくなりました。これはお客さんなどが来ているときには、特に役に立ちます。犬がいるためにゆっくり食事もできないのでは、困りますものね。私がカウチに座って何かを食べている時には、位置的に幸にもよく見えるので、幸は物欲しそうな顔をして私とその食べ物を交互に見つめたり、コーヒー・テーブルの上に鼻を乗せて臭いを嗅ごうとしたりしますが、ルールはルール、かわいそうでも無視して食べ続けます。 2歳現在、幸は一日にだいたい1カップ半ぐらいの量のドライ・フードを食べています。日中午後2時頃に1/4から半カップぐらい、夜の8時頃に1カップほどです。今はたいてい与えられた量をペロッと全部食べますが、仔犬の頃はかなり食欲にむらがありました。全く食べない日があって心配しましたが、その次の日には普通に食べたり。全部食べなかった場合には、30分ぐらいはそのままにしておきますが、その後でボールを片付けてしまいました。家では「出された時にさっさと食べる」が基本です(後記:2002年半ばから、幸の食餌がかなり変わり、ドライフードは全く使っていません)。 2)スペースの問題 パック・リーダーは自分のプライベートなスペースを持っていて、それはパックの他のメンバーが犯してはいけない聖域です。そのルールを応用して、家では幸が入ってもいい場所を限りました。すなわち一階はキッチン、トイレを含めてどこに行っても構わない、しかし二階には上がってはいけない、また地下にも降りてはいけないということにしました。地下に行くためにはドアを開けて階段を降りなければならなくて、そのドアはいつも閉めてあるので問題になりませんでしたが、二階に上がらせない為には、階段の所にベビー・ゲートを用いました。仔犬の背丈ではどう背伸びをしても届かない高さだったので、幸は飛び越えることができず、これは効果的な方法でした。私の方は二階に行く度に、足を「おいしょ」と持ち上げなければならず、ちょっと不便でしたが。このゲートは幸が一歳になったときに取り払いましたが、幸はルールが分かっているらしく、ゲートがなくても二階に上がろうとしません。何度か幸をだっこして二階の「ツアー」をしたことがありますが、一人では絶対に階段に足を乗せようともしません。 もう一つ気をつけたことは「家具の上には絶対に上がらせない」ということです。この場合「家具」というのは椅子、コーヒー・テーブル、カウチなどを指しますが、そのような所はたとえ幸が入ってもいい場所であっても「私専用」で、幸は上がれないことになっています。幸と一緒に座りたいときには私の方が「共有地」であるカーペットの上などに座ればいいわけです。 3)その他 パック・リーダーは生活のすべての面において主導権があります。その日の予定を決めるのも、散歩のコースを決めるのもすべてパック・リーダーがします。犬は規則正しい日常生活を好みますが、例えば、犬が散歩の時間を決めて、こちらが催促されるようでは困ります。幸の日常生活もわりと規則正しいものですが、幸の体の調子が悪くない限り、私が決めた時間に散歩をし、私が行きたい場所に連れて行きます。散歩の途中で、幸はいろいろな物の匂いを嗅ぎたがたり、他の犬に出会えば挨拶をしたがったりするので、そんなときにはこちらが幸の行きたい方向について行くこともありますが、どの角を曲がってどこへ行くかなどについては幸に決定権はありません。 以上、幸が家に来てからパック・リーダーが誰か分からせるためにしたことを列挙してみました。書いたことを読んでみると、すべて基本的なことですが自分でも随分厳しく幸の躾をしていたことに気がつきます。パック・リーダーになるためにはある程度厳しく犬と接しなければならなくこちらも大変ですが、パックの中での自分の順位がはっきり分かっている犬は、ストレスが少ないということも聞きました。信頼できるパック・リーダーがいれば、自分がリーダーになる努力をしなくてもいいわけで、リーダーの言うことを聞いていればだいたいのことがうまくいくわけです。これは幸のように「アルファ」と呼ばれる性質を持ち、機会があれば上の地位にのし上がろうとするようなタイプの犬には非常に大切なことだと思います。
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