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過剰吠え及びその対策 「柴犬のんの小屋」の掲示板で、先日犬の声帯除去手術についての議論が行われていました。幸は遊んでいて興奮した時以外全く吠えないので、私は今まで過剰吠え及びその対策である声帯除去手術について深く考察したことがありませんでしたあ。のん父さんに意見を求められた事をきっかけに、少し考えてみることにしました。 1 過剰吠えについて 声帯除去手術について考える場合には、まずその原因である過剰吠えについても触れる必要があると思います。手元の資料によると、犬が吠える原因としてはだいたい次の物が挙げられるようです。 ※ 注意を引く、退屈、縄張り意識、恐怖、離別不安 犬が一、二度「ワン、ワン」と吠えて飼い主の注意を引くというのは普通の事ですが、吠え続ける場合、あるいは誰も回りにいない、または回りで何も起こっていないのに犬が吠え続けるのは、恐らく退屈から来るものだそうです。吠え続ける事によりフラストレーションの意思表示をし、また、吠え続ける事によって退屈を紛らわしている可能性があるそうです。 犬にはもともと縄張り意識があるので、その縄張りに侵入者(人間/犬)が近付いて来た場合には犬は吠えるでしょう。これは、吠える事によって侵入者を脅してテリトリーから追い出すというよりも、自分が所属する集団(例:飼い主の家庭)に、異変を知らせるためだそうです。これが正当な理由で行われている限りは問題がないのですが、ちょっとした物音に異常に反応したり、特に理由もないのに吠え続ける場合には問題行動の範躊に入って来ます。 犬の聴力は人間の約4倍だと言われています。そのため、人間の耳にはそう気にならない音であっても、犬には恐怖を引き起こす程の音に聞こえる可能性があります。そういう場合には犬は恐怖から吠えるという行動に出ます。 恐怖を感じやすい犬、あるいは精神不安定な犬の中には、飼い主との離別に過剰反応を示すものがいます。このような飼い主との離別不安がある犬は、留守宅の家の中を荒らす、窓に飛びつくなどの行動の他に、吠える、それも30分も一時間も吠え続ける犬もいるそうです。 2 過剰吠え防止対策について 過剰吠え防止対策には大きく分けて、躾で矯正するものと、そうでないものがあると思います。 1)躾で矯正する方法 私が読んでみた本にはいろいろおもしろい対策が書かれていました。例えば、コマンドによって吠えたり吠えるのを止めさせたりするトレーニングをするもの。私はしてみたことがないので、うまくいくのかどうかはわかりませんが、コマンドに従って吠えるように躾けると、その反対の吠えないコマンドにも従えるようになるというコンセプトです。別の方法は「吠え返す」方法。犬は一般的に大きな音が嫌いですから、犬が吠えたら犬よりも大きな声でこちらも「ワン」と言えばいいのでしょうか。または、犬が退屈しないように一緒に遊ぶとか、犬が一人で遊べるおもちゃなどを与えるなど。恐怖が原因で過剰吠えが起こる場合には、恐怖の原因を克服するようにする、などなど。 これは犬種差、個体差があるので一概には言えませんが、躾で吠えるのを阻止するのは不可能ではないと思います。実際、幸の小さい頃の問題行動にはこの「吠える」も入っていました(他のものは「噛む」「人に飛びつく」等)。私は無駄吠えをする犬と一緒に暮らしたくなかったので、何とか躾けで吠えないようにできないかと考え、幸が吠えるたびに吠えないように言いました。結局幸は吠えても何もいいことがないことが分かったせいか、普段の生活では全く吠えない犬になりました。私は犬連れ出勤をしているので、これは今非常に役に立っています。しかし、これはあくまでも「吠えるように改良された犬」でないケースであり、まだ仔犬の頃に行った躾のため成功したのかも知れません。「吠えるように改良された犬」の場合、あるいは「吠えるように改良された犬」ではなくても、どうしても吠えたいタイプの犬の場合にはどうしたらいいかという問題が残ります。 2)その他の方法 躾で過剰吠えを矯正できない場合には、他の方法を考えなければなりません。私が思い付くのは「過剰吠え矯正カラー」と「声帯除去手術」です。 a. 過剰吠え矯正カラー 過剰吠え矯正カラーは犬が吠える度に、それがマイナスの行動であることを犬に分からせるためにデザインされた首輪です。私が知る限りではこの過剰吠え矯正カラーには二つのタイプがあるようです。 a-1. シトロネラ油を用いるもの 首輪にシトロネラ油を入れる部分があり、犬が吠える度にそれが犬の鼻先に吹き出す仕組みになっています。手元の犬用品のカタログでは、このタイプの値段は120ドル(約1万5千円)、詰め替えのシトロネラ油タンクが約13ドル(約1600円)となっています。 a-2. 電気インパルスを用いるもの 犬が吠える度に弱い電気ショックのようなことが起こるタイプ。このショックのレベルは7段階ほどの調整が可能なようです。手元のカタログでは、大きさや耐水性であるかどうか、使用説明のビデオが付いているかによって値段も異なるようですが、一番安いもので70ドル(約9千円)ぐらい、高いものでも110ドル(1万4千円)ぐらいです。 私が調べた限りでは、これらの過剰吠え矯正カラーは、過剰吠え防止対策にたいてい効果的なようです。 b. 声帯除去手術 犬の声帯の一部あるいは全部を除去する外科的手技。私が参考にした本によると、この手術によって犬は完全に声が出なくなるというわけではなく、しゃがれ声になったり、術後何年もたつと吠えることが再びできるようになることもあるそうです。犬が老年になった時に、喉頭狭窄症のように気道に困難を起こす可能性も無視できないそうです。 3)声帯除去手術について 犬が吠えるから声帯除去手術を行うということについて、考えてみました。 私の暫定的な結論としては、多世代に渡る繁殖で犬の形態や資質を変えるのも、手術でオルタネーョンを図るのも、よく考えてみるとそんなに違いはないのではないかということです。 歴史的にみると、例えばダックスの例ですと「吠えて敵を追いつめるという為に犬種改良」されているわけです。これはもちろん一世代で行われるわけではありません。人間が必要としている形、あるいは資質が現れるまでは、繁殖を繰り返すことになりすし、元の形から理想の形までの間に現れる中間的資質や形態については、普通は多くが語られていません。ただ、ダックスの例のように、それが例え人間の都合によるものだとしても、その犬の明確な使用目的があり、その目的になるべく沿うように、あるいは、その目的がなるべく効率良く達成されるように、犬種改良が行われたことは事実です。 これは全くの仮定ですが、例えば立ち耳の柴犬が気に入らないので、垂れ耳の柴を作りたいと考えた人間がいるとします。その人はおそらく繁殖により何らかの方法で垂れ耳の柴犬ができるように繁殖世代を重ねて行くのでしょう。同じ趣向の人間がいて、そちらの方は繁殖によってではなくて、もっと手っ取り早く外科的手技によりその的を達成したとします。どちらのケースが非難されやすいでしょうか。 多世代に渡る繁殖の場合には、先にも触れた「中間過程」、特にそれがネガティブな結果になった場合について無視できません。さらに、仮に垂れ耳の柴が完成されたとしてその繁殖が進んで行くと、それは個体レベルの問題では済まなくなって来ます。一方、外科的手技によって垂れ耳が完成された場合ですが、例えば耳の先端をベースに縫い付けるという方法が取られた場合、「犬にそんな不必要な整形外科的な手術を受けさせて」という非難が浴びさせられるでしょう。ただし、このケースの場合には、オルタネーションは個体レベルに留まっています。 この垂れ耳の柴犬の例とダックスの例は、どちらも人間の都合によるオルタネーションですが、この二つの例の決定的な相違点は、やはりその個体変化の目的でしょうか。整形上の目的なのか、あるいはもっと合理的な目的のためなのか、ですかね。ただ、ダックスの例ですと、人間の都合によりある資質を与えられた犬種に、それと相反する資質を期待することへの無理が声帯除去手術にはあると思います。 しかし、現実問題を考慮した場合、例えば犬があまりにも吠えるために、飼い主がノイローゼになったり、近所からの苦情が酷くて犬を手放す結果になる、というシナリオを考えた時、どうしても犬を手放したくないなら、何か手を施さなければならない、その手が声帯除去手術だというのは、納得できるような気がします。 私は決して声帯除去手術に積極的に賛成はしませんが、恐らく、これは声帯手術の是非を問うよりも、その動機の方に焦点をあてて考えた方がいい問題なのかもしれません。 Reference:
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