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クリッカーの導入 私がクリッカー・トレーニングを始めたのは、幸がオビーディエンス・レベル2というクラスを取っている時でした。レベル2のクラスに入るためには、基本コマンドであるsit, down, stay, stand, heel, comeなどをすべて理解し、コマンドに正しく反応できることが条件で、レベル1が終わった段階でこれを全てテストされました(「卒業試験」と呼んでいて、トレーナーの定めた基準に達していない子は、レベル1のクラスをリピートすることになります)。レベル2のクラスでは、クリッカー・トレーニングの導入がありましたが、トレーナーの態度は「やり方を教えておくから、あなたの犬のオビーディエンス・トレーニングに有益だと思ったら使いなさい」という、かなりフレキシブルなものでした。 クリッカー導入日には、クラスでクリッカーを渡され使い方を習いました。それから、犬にクリッカーとは何か理解させるためのアクティビティをしました。この基本をきちんとしておくと、後々応用がきくので、今回はクリッカーの導入について書いてみます。 <ゴール>鼻でお皿に触れるとクリッカーが鳴り、そうするとトリートがもらえるということを犬に理解させる。 <用意するもの> 1)クリッカー:私はクリッカーにコイルを付けて、手首に通して使っています。クリッカーから指を離しても落ちることがないため、便利です。 2)トリート:犬がボリボリ噛まなくても、すぐに飲み込めるものを用意します。トリートでお腹が一杯になってしまうと困るので、与えるのはほんの少し。便利なのはソフトタイプのトリート類で、それを予め小さくしておきます。 3)ターゲットとなるもの:クラスではプラスチック製の使い捨て皿を使いました。ターゲットは何でもいいのですが、なるべく犬がそれまでに見たことがないもの、見た事はあっても触ったり遊んだりしたことがない物の方がいいと思います。今回のアクティビティでは、犬がそれに鼻で触れることが目的なので、あまり柔らかいものよりある程度硬さがあり、鼻が触れた時に何らかの音がするものが望ましいと思います。 4)lots of patience:忍耐力(もちろん!こちらが焦ってもだめ) ※初めての時は、気が散る要素の少ない屋内で練習するといいと思います。 <クリッカーの使い方> クリッカーのコイルを利き手の手首に通し、クリッカーのプラスチックの箱の部分を手の平で保持します。クリックするのは内側の金属製の部分で、親指で押します。クリッカーを使うのが全く初めての場合は、犬と練習を始める前に何度か一人でクリックしてみるといいでしょう。このクリッキング・サウンドは、なるべくクリスプな音の方が望ましいと思います。親指で押したらすぐに指を離すようにすると、クリスプないい音になります。親指を離すのが遅いと、「クリ...ック」というようなお間抜けな音になるので、それは避けた方がいいと思います。 <手順> 1)クリッカーを利き手に、その反対の手にお皿を持って、トリートは手の届く所に置く、あるいは「ベイト・バッグ」と呼ばれる小さい袋に入れて、腰の辺りに下げておきます。準備が出来たら、犬を呼びます。 2)犬はクリッカー、お皿、トリート、などいろいろな物が見えるので、全てに興味を示すかも知れません。特に、トリートのところに行くと思います。目標は、犬がおやつから離れ、ターゲットにタッチすることなので、おやつばかりに興味を示したらお皿の方を見せて、犬が「あれ、これなんだろう?」と匂いをかいだ時に、鼻がお皿に付けばクリック&トリート。この時に、何だろうと思いやすいように、今まで犬が見たこともない物を使うと効果的です。 3)一回目は偶然に鼻が触れただけなので、まだコンディショニングはできていません。犬がまた偶然鼻でお皿に触れたら、クリック&トリート。最初は偶然を待っているような感じですが、何度かしているうちに、犬は段々お皿とクリックの関係、クリックとトリートの関係が分かって来ます。 4)この時に非常に大切なのはタイミングで、犬の行動をよくよく観察して、お皿に鼻が触れたその瞬間にクリックすること。クリッカーは、犬がこちらが期待していることをした場合に「はい、そこ、それです。私が期待しているのは」と、その瞬間の行動をマークするものです。ですから、タイミングがずれてしまうと、犬はそのずれたタイミングでしていたことをマークされたと思い、こちらが期待していることではない行動が強化されてしまうことになります。それに気付かずに練習を続けていると、間違いを練習してそれが上手になってしまうので、タイミングは非常に重要だと思います。 5)トリートは、最初は特にクリックのすぐ後に与えた方がいいですが、犬のコンディショニングができた後は、少しタイミングがずれてもそれほど支障はありません。犬はもらえる、と分かっていれば、こちらがちょっともたもたしていても、我慢強く目をきらきらさせて待っていますから。人によってはトリートを床に投げてやる、という方法を取っていますが、私は犬の口に持って行きます。床に投げる方法は、犬がトリートを見つけた後もまだ床の匂いをしつこく嗅いでいたりする、などの弊害があるためです。床にトリートを投げるのに抵抗があるのは私だけかな、と思っていたのですが、先日読んでいたクリッカー・トレーニング関係の本の著者も、同じ事を言っていました。 6)犬がコンディショニングが出来て来たら、今度はコマンドに従って行動するようにします。それまでは、犬は勝手にお皿に触れていましたが、次の段階では「触れろ」と言われたら触れるようにします。これに移る前に、犬が勝手に触れている段階で、犬がお皿に触れたら'touch'と言っておくといいと思います。 7)犬にお皿を見せて、'touch'とコマンドを出し、犬が鼻で触れたらクリック、その後トリート、という手順になります。 これはごく基本的で簡単なアクティビティですが、これがちゃんとできると後々何かと便利です。例えば、幸が前にクラスでしていたアクティビティの一つに、ハンドラーと犬の両方から離れた所にあるターゲットに犬を送りだし、犬はそのターゲットに触れてまたハンドラーの所に戻って来る、というものがありました。この時には、この基本的な'touch'と送り出しのコマンド、'go'を組み合わせて、'go touch'でやりました。 この場合、犬がどれがターゲットなのか理解できれば、'touch'はごく基本的なものなので簡単にできますし、後はハンドラーの所に戻らないと次の行動が分からないので戻って来る、というのはすぐに理解できたようです。この送り出しは実は、幸が今練習しているジャンプの練習の一つ、directed jumpingというものの一部になります。犬を送り出し、ターゲットまで行ったらそこで座って待機させる、そして、バージャンプかハイジャンプのどちらかを跳ぶように指示して、犬は言われた方を跳ぶというわけです。というように、この基本的な'touch'がいろいろ応用できるわけですね。
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