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束芋

先日、束芋(たばいも)の作品紹介のDVDを見ました。束芋は日本の現代アーティストで、以前この人の作品の写真を見る機会があって以来ずっと気になっていました。DVDではアニメーションはアニメーションとして見られるので、今まで静止画のみで見ていた時よりもずっと理解しやすいですし、彼女自身が作品について解説しているので、理解がより一層深まったように思います。
束芋が作品モチーフとして取り上げるのは、日本の銭湯、台所、横断歩道、公衆便所など、私達の身近なものばかりです。つまり日本社会をテーマにしているわけですが、その社会が抱える問題を批判するのではなく、その問題に対峙して描き出しているといった作品です。彼女の表現方法はアニメーションが主ですが、例えば三方の壁に銭湯のアニメーションを映し出し、その壁の前には銭湯によくあるような湯桶を積み上げておくなど、見る人が立体的に作品が体験できるようになっています。私は実際に見たことがないのですが、恐らくかなり臨場感があるのではないでしょうか。
彼女が自分の制作について言っていたことで非常に印象に残っているのは、彼女は一つの作品を作り出すと空っぽになるということです。つまり、その作っている作品にその時の自身の全てを注ぎ込んで、出来上がると何も残っていない状態になるのだそうです。ですから、その作品と向き合っている時には、次のことは全く考えていなくて、その作品が完成した段階で自分がアーティストとしてどのような方向に進んで行くのか、全く分からない状態なのですって。そして、作品が完成するとそれは彼女の手を離れて行き、自分の作品ではなく「一つの作品」として客観的に見られるようになるのだそうです。
仕事は何でもそうかもしれませんが、何かを作り出すためには自身の身を削っているという感覚が私にもあります。ですから、削りっぱなしではすり減って痩せ細って行くばかりなので、時々栄養補給をしなければならないわけですね。その栄養補給は人によって様々だと思いますが、やはり大切なのはバランスなのでしょう。
この「束芋」というアーティスト名、おもしろいと思いませんか?調べてみると、これは彼女の本名である「田端」から来たものだそうです。彼女は三人姉妹の真ん中なのですが、この姉妹共通の友達が三人を区別するために、お姉さんを「たばあね」(田端さんの家のお姉さん)、束芋を「たばいも」(田端さんの家の妹さん)、そして一番下の妹さんを「いもいも」(たばいもさんのいもうとさん?)と呼んでいたそうです。「いもいも」、束芋の妹さんは現在、束芋のマネージャーとして働いています。
彼女の作品、是非一度実際に見てみたいです。